第14回 聞こえが悪いんです! 急性感音難聴について

2026年7月28日

急に聞こえが悪くなり受診される患者さんがいます。
どのような病気が原因となるのでしょうか。今回は急性感音難聴について考えてみたいと思います。

ポイント

✔️急に聞こえが悪くなる病気には
伝音難聴(耳介や耳の穴、鼓膜周辺に原因)
感音難聴(内耳、聞こえの神経、大脳に原因)
それらが合わさった混合性難聴がある。
✔️急に起きる感音難聴=急性感音難聴には突発性難聴、メニエール病、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、音響外傷などがある。
✔️突発性難聴は発症から2週間以内の治療開始が望ましい。
✔️ムンプス難聴はワクチンによる予防が非常に重要である。

問診

病気ごとに原因、治療法が異なるため注意深い問診が必要。

◆いつからの症状か。
◆経過は:急性か慢性か。聞こえの悪さが変動、進行するか。
◆きっかけはあるか。
◆片側か両側か。
◆他の症状は:耳だれ、めまい、顔面神経麻痺など。
◆既往歴:精神的・身体的ストレス、睡眠不足はあるか。循環障害の原因となる病気(高血圧症、脂質異常症、不整脈)などあるか。

急性感音難聴をおこす代表的な病気

⚫︎突発性難聴
突然に発症した原因不明の高度な難聴。人口10万人あたり60.9人。60代の発症が最も多い。他の難聴を起こす疾患を除外する必要あり。

⚫︎メニエール病
難聴、耳鳴、耳閉塞感などを伴うめまい発作をくり返す疾患。原因不明であり人口10万人あたり35~48人。既婚女性に多い。誘因として精神的・肉体的疲労、睡眠不足が多い。*2

⚫︎急性低音障害型感音難聴
急性又は突発性に耳症状(耳の閉塞感、耳鳴、難聴など)が発症。
障害が低音域に限定。めまいは伴わない。原因不明である。
人口10万人あたり40~60人。若年(特に30代)女性に多い。反復や再発した場合、メニエール病(蝸牛型)に該当する。

⚫︎外リンパ瘻
外傷、病気、手術、圧力によって、又は原因不明に内耳から外リンパ液が漏れ出る事で発症。突発性・変動性・進行性の難聴、耳鳴、耳閉塞感、めまい等の症状あり。

⚫︎ムンプス難聴
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)にかかり、耳下腺が腫れる前後に高度感音難聴となる事がある。90%以上が一側性、高度~重度難聴となる。1000人に1人。流行性耳下腺炎の好発年齢は3~6才、90%以上が10才未満であることからムンプス難聴も幼小児が多い。30代も子ども又は子どもから感染した成人から感染し難聴となる事あり。

⚫︎音響外傷
大きな音による聴覚の障害を音響性聴器障害という。音の大きさ、さらされる時間によって急性音響性聴器障害(広義の音響外傷)、慢性音響性聴器障害に分けられる。

◆急性音響性聴器障害(広義の音響外傷)
きわめて大きな音に瞬間的に聴覚が障害された場合を狭義の音響外傷とし、それより弱い巨大音に数分~数時間さらされた後に生じる難聴を急性音響性難聴という。

◆慢性音響性聴器障害(=騒音性難聴)
短時間では明らかな障害を残さない程度の音に数年以上(5~15年以上)継続してさらされた時に4kHz付近の高音域から難聴が進行する。

気になったこと

⚫︎突発性難聴は発症から2週間以内の治療開始が推奨されている。*1

⚫︎ムンプス難聴は90%以上の大多数が一側高度~重度難聴であり、治療改善率は0~11.1%と予後不良。そのため唯一有効な手段はワクチンによる予防でありWHOもその重要性を提唱している。*1

執筆:宝クリニック耳鼻咽喉科・院長 宝積 健

『急に聞こえが悪くなった!?』と思ったら宝クリニックにご相談下さい。

引用出典
*1急性感音難聴診療の手引き 2018年版
*2メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版