第5回宝コラム 2025年花粉症が始まってるんです!

2025年2月25日

2025年の花粉症が始まっています。すでに外来に花粉症の方が多数受診されています。

2025年静岡市 春の花粉飛散のポイント

✔️1/6からスギ花粉の飛散が開始している。*1
✔️スギ花粉のピークは3月上旬、ヒノキ花粉は3月下旬~4月上旬と予測。*2
✔️飛散量は前シーズン並み、例年(過去10年平均)と比べ多い(150%程度)。*2

2025年の傾向

2024年の夏は猛暑となり、花芽の形成に好条件な高温、多照の気象条件が九州から北海道で揃いました。又、日本気象協会が行った花芽調査ではスギ雄花の花芽の量は四国、近畿、東海で例年より多い傾向であることが確認されています。これらの事から2025年春の花粉飛散量は、例年に比べて九州から北海道にかけてほとんどの地域で多いことが予測されています。*2

花粉の飛散量、飛散開始は何によって影響されるか

・飛散量
前年の7月~8月(特に7月中旬~下旬)の気象条件が翌シーズンの花粉飛散量に影響。①最高気温 ②平均気温 ③全天日射量 ④日平均湿度 ⑤降水量 であり①~③が高ければ増加し④、⑤が多ければ減少します。又、前年の11~12月のスギ雄花の成長量、生産量が翌シーズンの花粉数と相関があり林野庁が「スギ雄花花芽調査」を全国の定点で実施しています。これらにより翌年の花粉飛散数が予測されています。*3

・飛散開始 
花芽が冬季に一定期間(5週間)低温にさらされる事で休眠から覚め(休眠打破)その後に温度条件が揃うと開花=飛散開始となります。*3

・日々の飛散数の予測 
花粉数が多くなる時期は飛散開始から1~8週の間で晴れて気温が高く空気の乾燥している日です。都市部では風の強い日はスギ林から花粉が長距離を移動するため飛散数が多くなりやすいです。*3

花粉症の治療

・抗原回避 
花粉情報に注意し、外出時にマスク、ゴーグルの着用。なるべく花粉を室内に持ち込まない様にけばだったコートの使用は避け、帰宅時は衣服や髪をよく払ってから入室。室内は掃除で除去、特に窓際を念入りに掃除します。福井大学の調査では花粉飛散時期の登下校時にマスクをすることで児童生徒の花粉症新規発症率が、2020年までの約3%から2021年は1.4%に半減したとの報告があります。*4

・薬物療法
症状に応じて各種薬剤を選択、組み合わせて処方します。即効性、持続時間、副作用の少なさ、長期処方のしやすさなどから第2世代抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)が処方されることが多いです。症状初期からステロイド点鼻薬を使用することでピーク時の症状悪化を抑えることができます。*5 その他内服薬以外に貼る薬(アレサガテープ、15才以上~)、2024年からまぶた周囲のかゆみ、結膜炎に対して塗り薬(アレジオン眼瞼クリーム、12才以上~)が発売されました。どちらも1日1回の使用で忙しく使い忘れの多い方、点眼の苦手な方、コンタクト使用の方には良いと思います。

・舌下免疫療法
アレルギーの原因となる物質を継続して投与しアレルギー症状を少なくしていく治療法です。スギ花粉症、ダニアレルギーが対象となります。当院でも5才以上のお子さんからスタートされる方が多くなっています。

2025年東海地方は飛散数が例年の150%と多く、花粉症の悪化、新規に花粉症となる可能性があります。宝クリニックで早めの治療開始、ピーク時の症状悪化を回避しましょう。まだ花粉症になっていない方はマスク(マスクの中にガーゼを入れるのがお勧めです)など抗原回避をして新規発症を予防しましょう。

引用
*1 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学科 静岡県地方部会ホームページ
*2 日本気象協会ホームページ 2025年 春の花粉飛散予測
*3 スギ花粉飛散予測の進歩 遠藤朝則 JOHNS Vol.38 No.1 2022
*4 スギ・ヒノキ花粉症2023 鼻アレルギーフロンティア vol.23 No.1 2023-02
*5 鼻アレルギー診療ガイドライン 通年性鼻炎と花粉症 2020年版