第 7 回宝コラム めまいがするんです!

2025年7月29日

梅雨時や季節の変わり目、天候不順の時になぜかめまいを訴える患者さんが多い気がします。実際はどうでしょうか?又、耳鼻科で治療をするめまいはどんな病気でしょうか?

ポイント

✔️天候不順で悪化する可能性があるのはメニエール病。冬季の寒冷前線の通過でめまいを起こしやすい。
✔️めまいの起き方、起きやすい病気を考えることから大体の種類が予想できる。
✔️めまい症の3分の2は耳(内耳)が原因。そのうち3分の2は良性発作性頭位めまい症。*3
✔️良性発作性頭位めまい症は改善する事が多いが再発する事もある(1年以内に15-18%)。
✔️再発しやすい条件(リスクファクター)は女性、高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗しょう症、ビタミンD欠乏、年齢(>65才)、片頭痛などです。

めまいと天候について

● 天候によるめまい症状の悪化はメニエール病に関して多く報告されています。メニエール病の発作は12月~3月に多く寒冷前線の通過の影響を受ける事が指摘されています。*1,*2

● メニエール病のめまいが天候不順から起きる可能性として①気圧変化、気温の変動が直接内耳に作用する可能性。②それらがストレスとなって間接的に内耳に影響する可能性の2つが考えられています。*1

めまい症について

めまい症の内、3分の2は耳(内耳)が原因のめまい。さらにその3分の2が良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。*3 当院で治療するのは内耳性めまいです。
めまい症には様々な疾患がありますが実際の診療では発症様式=起き方(急性、発作性、慢性)、頻度=起きやすい疾患、判別に重要な問診から診断を絞り込むのが効率的です。*4

● (発症様式=起き方)*4
急性めまい 静止時にもめまい。数日持続する事あり。
発作性めまい 数秒~数時間。反復する。誘発因子(起こしやすいきっかけ)がある場合あり。
慢性めまい 毎日持続。めまいが止むことがなく3か月以上持続。

● (頻度=起きやすい疾患)*4
急性めまい (脳血管障害、心臓疾患を否定し)初発であれば前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴を考える。
発作性めまい 良性発作性頭位めまい症(BPPV)、メニエール病、前庭性片頭痛
慢性めまい 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)、心因性めまい、一側末梢前庭障害後の代償不全

● 上記に加え、難聴、誘発因子、頭痛の有無等を確認しさらに診断を絞り込む。その後、検査(眼振検査、聴力検査等)を行います。

● 実際は良性発作性頭位めまい症であることが多い。*5
原因 内耳前庭にある耳石が剥がれ落ち半規管や半規管感覚器に迷入、付着することで生じる。後半規管型が85~95%、外側半規管型が5~15%。
治療 耳石置換法、薬物治療。
経過 自然治癒する可能性もある(後半規管型は平均39日、外側半規管型は平均13日程度で自然治癒)が1週間様子を見てもよくならなければ治療を検討。耳石置換法に薬物治療を加える事でさらに改善する可能性があります。
再発 耳石置換法で治療後、1年以内に15-18%が再発し3年以内に30-50%が再発する。女性、高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症、ビタミンD欠乏、年齢(>65才)、片頭痛、頭部打撲、心血管系障害、患側耳を下にする睡眠頭位は再発のリスク因子です。血清ビタミンD値の低下に対してビタミンD、カルシウム投与が再発を予防する可能性があります。

😃めまいかな?と感じたら宝クリニックにご相談下さい。

引用出典
*1 藤田信哉:めまいと気象 メニエール病について Equilibrium Res Vol.76(1) 1~7,2017
*2 渡辺行雄,将積日出夫,伊藤宗治,他:気象(とくに寒冷前線通過)とメニエール病発作との関連性について.Equilibrium Res Suppl 9:21-24,1993 *3 北原礼: めまいの治療 臨床と研究・100巻11号 令和5年11月
*4 森田由香:めまいの時短診療「第125回日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会総会教育講演」日耳鼻 128:12-18,2025
*5 良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン 2023年版