第11回 宝コラム 鼻づまりが続くんです! 鼻茸(はなたけ)のある慢性鼻副鼻腔炎について

2026年2月3日

鼻づまりの原因として多いのは鼻かぜやアレルギー性鼻炎です。鼻かぜが悪化して副鼻腔の入り口(副鼻腔自然口)に炎症が及び”ちくのう症”(急性鼻副鼻腔炎)となる事が多いです。*1
発症から4週未満 → 急性鼻副鼻腔炎
発症から12週以上 → 慢性鼻副鼻腔炎

たまに患者さんのお鼻の中にふつうは見られない”ブドウの果肉”の様なふくらみが見られます。ご本人にうかがうと大抵「そういえば昔から、ちくのう症と言われている」とお返事があります。これは鼻茸(はなたけ)といって慢性鼻副鼻腔炎による粘膜の変性であり、重度の鼻づまりとなります。

ポイント

✔️副鼻腔の入り口(副鼻腔自然口、特に中鼻道自然口ルート=ostio-meatal complex)に炎症が及ぶと副鼻腔炎が起きることが多い。*1
✔️慢性化した副鼻腔炎は鼻茸があるかないか、従来型か好酸球性鼻副鼻腔炎かで経過が違う(鼻茸が無く、従来型の方が治りやすい)。
✔️好酸球性鼻副鼻腔炎は手術後再発する事が多く(重症例の術後6年の再発率は75%以上*2)、術後治療が重要。

分類

以下の分類があります。

所見から:鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎
:鼻茸を伴わない 〃

原因から:従来の慢性鼻副鼻腔炎(1型、3型炎症が中心)
好酸球性鼻副鼻腔炎(2型炎症中心)*3
        
1型炎症 ウイルス感染などで起きる炎症
2型 〃 主にアレルギー関連物質による炎症
3型 〃 細菌や真菌感染で起きる炎症*1

検査

鼻茸スコア:鼻茸の大きさによって点数化した分類。
CT:レントゲン検査は病気の詳細な確認には不向き。CTにて鼻茸の部位や重症度を確認する。
血液検査:白血球の内、好酸球の割合を確認する(特に好酸球性鼻副鼻腔炎で)。*4

診断

鼻茸の有無や部位、血液中の好酸球割合を点数化し(JESRECスコア)それによって従来型の慢性鼻副鼻腔炎か、好酸球性鼻副鼻腔炎(軽症、中等症、重症)かを分類。*4

治療

●鼻処置・ネブライザーなど
鼻副鼻腔粘膜の腫脹や傷害により副鼻腔に貯留液が溜まる。これがさらなる炎症の原因となるため鼻処置により粘膜を収縮、貯留液を除去。ネブライザーにより薬液を吸入させ治療効果を高める。*4
●薬物療法
従来型の慢性鼻副鼻腔炎:14員環マクロライド系抗生物質の少量長期投与(有効な場合3~6ヶ月)。免疫調節作用によって炎症の遷延化・慢性化を防ぐ。*4
好酸球性鼻副鼻腔炎:鼻噴霧用ステロイド薬と必要に応じて経口ステロイド薬。生物学的製剤(デュピルマブ)。*4
●手術療法
薬物療法の効果が期待できない場合(大きな鼻茸、鼻腔と副鼻腔の交通が悪い場合、好酸球性鼻副鼻腔炎で薬物コントロール不良例など)。好酸球性鼻副鼻腔炎の手術後は鼻の処置、鼻洗浄、鼻噴霧用ステロイドの使用が重要。*4
●その他
生物学的製剤(デュピルマブ)は薬物や手術療法を行っても再発するような難治性の場合に検討されます。高額でありしっかりとした手術(副鼻腔の単洞化)がされていないと効果が低下すると言われています。*2

最適使用推進ガイドライン デュピルマブ(厚生労働省)*5
対象者は以下①~③のすべてに該当する事。

①慢性副鼻腔炎の確定診断がされている。
②鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対して、過去2年以内に全身性ステロイド薬による治療歴がある。
又は
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対して、手術による治療歴がある。
又は
全身性ステロイド薬の禁忌に該当する、もしくは忍容性が認められない。
③既存の治療によっても以下のすべての症状が認められる。
●内視鏡検査による鼻茸スコアが各鼻腔とも2点以上かつ両側の合計が5点以上。
●鼻閉重症度スコアが2(中等症)以上(8週間以上持続していること)。
●嗅覚障害、鼻汁(前鼻漏/後鼻漏)等(8週間以上持続していること)。 

鼻水、鼻づまりが気になったら宝クリニックにご相談下さい。

引用出典
*1竹野幸夫 川住知弘 好酸球性副鼻腔炎の病態と関連修飾因子 アレルギー73(8).961-970.2024(令6)
*2細矢慶:好酸球性鼻副鼻腔炎の生物学的製剤とその最前線について.日耳鼻免疫アレルギー感染症学会誌2025 5(1):9-13
*3清水猛史「鼻副鼻腔炎診療の手引き」の要点
*4鼻副鼻腔炎診療の手引き作成委員会.鼻副鼻腔炎診療の手引き.日鼻誌.2024:63(1) 第3章 好酸球性鼻副鼻腔炎
*5厚生労働省 最適使用推進ガイドライン デュピルマブ(遺伝子組換え)~鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎~令和2年3月