㊗第10回宝コラム 『コロナにかかってから・・・』罹患後症状、ワクチンについて

2025年12月26日

新型コロナにかかってから強い症状が治まっても「何だかだるいし咳が続いています。すっきり良くなっていないんです」など体調不良を訴える方が少数います。新型コロナ感染症後の症状=「罹患後症状」とされ「新型コロナにかかり少なくとも2か月以上症状が持続し、他の疾患によるものとして説明がつかない。通常、発症から3ヶ月たった時点でも見られる症状」と定義されています。 *1

ポイント

✔️罹患後症状は感染後3ヶ月で14.3%、18カ月で5.4%。
✔️標準的な治療法は確立しておらず症状に対する治療が中心。数か月~半年で徐々に改善する事が大半。
✔️オミクロン流行期となって罹患後症状の発生率は低下したが、感染者数の増加のため患者数は減少していない。
✔️ワクチン接種が罹患後症状を抑えるカギ。

「罹患後症状」(post COVID-19 condition)

主な症状としては、次のようなものが報告されています。

・疲労感、倦怠感
・睡眠障害
・集中力低下
・呼吸困難
・脱毛
・記憶力の低下(ブレインフォグ)
・嗅覚、味覚障害
・咳嗽


ポイント

① 成人の方が小児より頻度が高い。
② 感染後いずれか1つ以上の罹患後症状がある割合は感染後3ヶ月で14.3%、18カ月で5.4%。
③ アルファ、デルタ流行期(25~28.5%)に比べオミクロン流行期(第6~7波)では頻度は低い(11.7~17%)。
④ 標準的な治療法は確立しておらず症状に対する治療が中心。数か月~半年で徐々に改善する事が大半。
⑤ 一旦症状が悪化したり治るまで長期間を要したり、再発することもあるため定期的に通院し継続的に評価する事が重要。
⑥ 呼吸器系の罹患後症状としては呼吸困難・息苦しさ・咳症状が主。
2021年アルファ流行期では嗅覚・味覚障害は感染者の約半数。その後、発生率は減少しましたが(2020年流行期を1としてオミクロン流行期は0.07!)感染者数が増加しているため患者数は減少していません。
嗅覚・味覚障害の約8割は発症後、数週間以内に改善します。発症6ヶ月後に嗅覚・味覚障害を認める割合はそれぞれ12%、6%。1年後では6%、4%。障害の程度は低いですが異嗅症を高率に(50%以上)合併。
感染前にワクチンを接種していた人は未接種者より罹患後症状の発生率が低い。
⑩ ワクチンを2回以上接種した人は非接種者に比べて新型コロナに罹患後30~120日間の虚血性心疾患、心不全、心停止、肺塞栓、静脈血栓症、急性腎不全、慢性閉塞性肺疾患の発症率が低かった。 *1


ワクチンについて

予防と罹患後症状を軽減させるためにもワクチン接種は重要です。2024年4月~年1回の定期接種(B類疾病)となりました。65才以上及び60~64才で心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される方が対象です。生後6ヶ月~64才の方は任意で接種可能。

●WHOの推奨する最新の抗原組成が用いられています。
●2024/25で使用されたJN.1対応ワクチンは接種しなかった場合と比べて18~64才で60%の発症予防効果あり。 *2
基礎疾患がある方や中等度~重度の免疫不全者には接種が強く推奨。 *2
●過去に新型コロナにかかった人も再感染のリスクがあり、発症から3ヶ月以上経過していればワクチンの接種が奨められています。 *2
●ワクチンを接種する事で感染しても軽く済みます。家庭内での感染率が27~46%低下、罹患後症状発現率が36~43%低下。 *2
●2025年度はJN.1系統変異株であるLP.8.1とXEC、近縁のNB.1.8.1に対応した5種類のワクチンが供給されます(コミナティ、スパイクバックス、ヌバキソビッド、ダイチロナ、コスタイベ)。いずれも効果が期待され臨床試験で安全性が確認されています。インフルエンザワクチンと同時接種も可能です。 *2 *3


気になったこと

●嗅覚・味覚障害の発生率が低下してもオミクロン流行期では感染者数の増加により患者数は減少していません。罹患後症状全体に対しても同様と言えます。
ワクチン接種が罹患後症状を抑えるカギと思われます。ネックは高額なワクチン代と新型コロナの毒性かもしれません(かかっても軽く済むなら接種しない人が多数?)。

感染後に体調の変化が長く続く場合は、早めに宝クリニックにご相談ください。

*1 新型コロナウイルス感染症 COVID19診療の手引き 別冊
罹患後症状のマネジメント第3.1版
*2 COVID19ワクチンに関する提言(第11版) 一般社団法人
日本感染症学会 ワクチン委員会・COVID-19ワクチンタスクフォース
*3 2025年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 
一般社団法人日本感染症学科 一般社団法人日本呼吸器学科
日本ワクチン学科